○有田市議会基本条例
令和5年12月21日有田市条例第30号
有田市議会基本条例
目次
前文
第1章 総則(第1条・第2条)
第2章 議会及び議員の活動原則(第3条―第6条)
第3章 議会と市民との関係(第7条―第11条)
第4章 議会と市長等との関係(第12条―第14条)
第5章 議会の機能強化(第15条―第17条)
第6章 議員の政治倫理(第18条)
第7章 災害時の対応(第19条)
第8章 補則(第20条)
付則
有田市民(以下「市民」という。)の直接選挙によって選ばれた議員によって構成される有田市議会(以下「議会」という。)は、同じく市民の直接選挙によって選ばれた市民の代表者である市長と、緊張のある関係を保ちながら、立場及び権能の違いを踏まえて、二元代表制のもと、市政に対する市民の負託に応える責務を有している。
議会は、合議制の機関の特性を最大限に生かすために、開かれた議会づくりを推進し、多くの市民と意見の交換をし、議員同士の議論を活発に行い、論点や課題を明らかにして、市政及び議会活動に反映させていかなければならない。
また、これまで積み重ねてきた議会改革を確かなものとし、議会及び議員の使命、役割、責務を自覚しながら、将来にわたり市民福祉の向上と市勢の発展に寄与することを決意し、ここに議会及び議員の活動の規範としてこの条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、二元代表制の下、議会の基本理念、議員の責務及び活動原則等を定め合議制の機関である議会の役割を明らかにするとともに、議会に関する基本的事項を定めることにより、議会が市民の信託に的確に応え、もって市民福祉の向上と公正で民主的な市政の発展に寄与することを目的とする。
(条例の位置付け)
第2条 この条例は、議会の運営及び議会活動に関する最高規範であり、市議会及び議員は、誠実にこれを遵守し実践するものとする。
2 議会に関する他の条例等を制定又は改廃する場合においては、この条例との整合を図るものとする。
第2章 議会及び議員の活動原則
(議会の活動原則)
第3条 議会は、次に掲げる原則に基づき活動するものとする。
(1) 市民に分かりやすく、開かれた議会運営を行うこと。
(2) 議決責任を深く認識し、市民に対し、説明責任を果たすこと。
(3) 市民の多様な意見を的確に把握し、市政に反映させること。
(4) 公正性及び透明性を確保するとともに、市長その他の執行機関(以下「市長等」という。)の事務の執行について監視及び評価すること。
(5) 不断の議会改革に努め、議員一人ひとりの資質を高め、議会力及び議員力を強化すること。
(議員の活動原則)
第4条 議員は、次に掲げる原則に基づき活動するものとする。
(1) 市民の多様な意見の把握に努め、市政に反映されるように、政策の立案及び提言を行うこと。
(2) 議会が言論の場であること及び合議制の機関であることを認識し、議員間の自由な討議を重んじること。
(3) 議会の構成員として、一部団体及び地域代表の視点に止まらず、市民全体の福祉の向上を目指して活動すること。
(4) 議会における政策の決定等について、市民に対して説明責任を果たすこと。
(議員間討議)
第5条 議会の議長(以下「議長」という。)並びに常任委員会、議会運営委員会及び特別委員会(以下「委員会」という。)の委員長(以下「委員長」という。)は、議会が言論の場であることを十分に認識し、議員相互間の自由な討議を中心に運営し、合意形成に努めなければならない。
2 議員は、本会議及び委員会において、自らの意見や考えを丁寧に述べるとともに、他の議員の意見を尊重し、議員間での討議を尽くさなければならない。
(会派)
第6条 議員は、議会活動を行うため、政策を中心とした同一の理念を有する議員で構成した会派を結成することができる。
2 会派は、政策の立案、提言等に関し、会派間で調整を行い、合意形成に努めるものとする。
3 会派について、必要な事項は、別に定める。
第3章 議会と市民との関係
(市民参加及び市民との連携)
第7条 議会は、市民に対し積極的に情報を提供し、その説明責任を十分に果たさなければならない。
2 議会は、本会議のほか、委員会の会議を原則公開するものとする。
(情報公開及び議会広報の充実)
2 議会は、インターネット、広報誌等の多様な媒体を用いて、情報の発信及び市民の意見の把握に努めるものとする。
(意見交換会)
第9条 議会は、市民の多様な意見を把握し、市民参加の推進に努めるとともに、市民との意見交換の場を多様に設けるものとする。
(請願者及び陳情者の説明機会)
第10条 議会は、請願及び陳情を市民による政策提案として位置付けるとともに、その審議において、必要があると認めるときは、請願者及び陳情者の意見を聴く機会を設けるものとする。
(公聴会及び参考人制度の活用)
第11条 議会は、公聴会制度及び参考人制度を活用し、市民の意見及び専門的知見を議会活動及び政策立案に反映させるよう努めるものとする。
第4章 議会と市長等との関係
(市長等との関係の基本原則)
第12条 議会は、市長との立場及び権能の違いを踏まえ、緊張ある関係を構築し、事務執行の監視及び評価を行うものとする。
2 議会審議における議会と市長等の関係は次に掲げるとおりとする。
(1) 本会議における議員と市長等との質疑応答は、論点及び争点を明確にして行うものとする。
(2) 議長から本会議及び委員会に出席を要請された市長等は、議長又は委員長の許可を得て、議員の質問に対して論点及び争点を明確にするため、当該議員に対して反問することができる。
(議会審議における論点の形成)
第13条 議会は、市長等が提案する政策等について、議会審議における論点及び争点を明確にし、その政策水準を高めることに資するため、市長等に対し、次に掲げる事項について明らかにするよう求めることができる。
(1) 政策等の提案に至った経緯及び理由
(2) 他の地方公共団体の類似する政策との比較検討
(3) 市民参画の実施有無及び内容
(4) 総合計画における根拠又は位置付け
(5) 計画の実施に係る財源措置
(6) 将来にわたる効果及び経費負担
2 議会は、予算及び決算の審議に当たっては、前項の規定に準じて、分かりやすい政策別又は事業別の説明を市長等に求めることができる。
3 議会は、市長等が議決事件に含まれない重要な政策等を提案するときは、あらかじめ、議会の意見を聴く機会を設けるよう求めるものとする。
(政策立案及び政策提言)
第14条 議会は、条例の制定、議案の修正、決議等を通じて、政策の立案及び政策提言を行うよう努めるものとする。
第5章 議会の機能強化
(議員研修)
第15条 議会は、議員の政策立案等に係る能力の向上を図るため、議員研修の充実・強化に努めるものとする。
(議会事務局の機能)
第16条 議会は、議会活動を円滑かつ効率的に行うため、議会事務局の調査機能及び法務機能の充実強化並びに組織体制の整備を図るよう努めるものとする。
2 議会事務局は、前項に規定する目的を達成するため、議会に対し提案を行うことができる。
3 議会事務局は、議長の統括する議会事務を遂行し、議会の政策立案活動、調査活動等を補佐する役割及び円滑な議会運営を実現するため、必要な予算の確保に努めるものとする。
(議会改革の推進)
第17条 議会は、議会の信頼性を高めるため、改革に積極的に取り組むものとする。
2 議会は、前項の改革に取り組むため、必要に応じ議員で構成する検討のための組織を設置するものとする。
第6章 議員の政治倫理
(議員の政治倫理)
第18条 議員は、市民全体の代表者としてその倫理性を常に自覚し、良心と責任感を持って、議員の品位を保持し、識見を養うよう努めなければならない。
2 議員の遵守すべき政治倫理に関し必要な事項は、有田市議会議員政治倫理条例(令和2年条例第22号)で定める。
第7章 災害時の対応
(議会の災害対応)
第19条 議会は、災害が発生したときは、議会機能を的確に維持するため、迅速かつ適切に対応するものとする。
2 災害時の議会の行動基準等に関しては、別に定める。
第8章 補則
(検証及び見直し)
第20条 議会は、市民の意見及び社会情勢の変化等を勘案し、必要に応じて、議会運営委員会において、この条例の目的が達成されているか、検証を行うものとする。
2 議会は、前項の検証の結果、この条例及び関係規則等について、改正が必要と認められる場合は、適切な措置を講ずるものとする。
付 則
この条例は、公布の日から施行する。